平成15年版「消防白書」によると、建物火災による焼死者1,420人の中で約9割が住宅火災によるものだった。火災は火を起こさないことが最善だが、ゼロにすることは現実的に不可能といえる。
そこで、正しい知識を身につけ、早期発見と適切な初期消火を行うことで被害を最小限に食い止めたい。
火災は最初の2〜3分間にどう対応するかで状況が全く異なってくる。出火してすぐは火に勢いがなく、消防士でなくとも火を消すことができる。
「2〜3分」というのは火が天井にまで燃え広がらず、家庭用消火器で十分対応できる段階だ。また過去の災害においても、火事によって被害が拡大した例が多い。
関東大震災では東京都(当時東京市)の約3分の1が焼失した。阪神・淡路大震災では、倒壊した家財でコードが破損し、停電復旧後に火災が発生する通電火災も起きている。これらは避難時にブレーカーを切っておけば防げた災害だ。