瞬間的に炎を抑えて消火できるものの、木材など燃えている物によっては再び火が出る可能性もあるため、さらに水をかける必要がある。消火器と一緒にマスクも用意しておくとなお良いだろう。
このような粉末の入った消火器の重量は3キログラムから6キログラム程度で、重いほど中の薬剤量が多く、放射の可能な時間は長くなる。ただ高齢者や女性には重く感じられるかも知れない。
台所向きとして紹介したスプレー式の簡易消火器具は500グラム程度と小型で軽量なことに加え、片手でも噴射できるのでこれであれば主婦や高齢者にも使いやすいだろう。
火元から1.5〜2.5メートル程度の距離から一気にスプレーを押し下げて噴射する。このタイプの消火器具はゴミ箱やクッション、カーテンなどの出火にも対応可能だ。中身の薬剤によって、「ハロン」タイプと「強化液」タイプに分類できる。
前者の場合、天ぷら油が発火した際には、一時的に火が消えても再度発火する可能性があるとして、総務省消防庁は後者のタイプを使用するよう注意を呼びかけている。
このように火災の種類によって使用する消火器具は異なるので、自宅や会社などにある消火器具はどの火災に向いたものかあらかじめ確認しておきたい。その際はぜひ消火器具に張ってあるラベルに注目してほしい。
A、B、Cなどの文字が書いてあるが、これは国の定めた規格で、「A火災(普通火災)」は紙、繊維などが燃える火災、「B火災(油火災)」は灯油やガソリンなど石油類が燃える火災、「C火災(電気火災)」とあれば電気設備やコンセントなどが燃える火災に対応していることを表している。
消火器具のほかにも、風呂釜の残り湯を捨てずに張っておくことや、消火用のバケツを用意しておくことも生活の知恵だろう。どの消火手段を採るにしても、自力での消火が不可能と判断したら、周囲に助けを求めたり、避難することも想定して出口を背に消火活動にあたるようにしたい。